ビジネスシーンでの装いは、単なるお酒落ではなく「自分の社会的立場をわかっているか、弁えがあるか」を他者から計られるポイントなのです。
私は仕事柄、お酒落に熱心な方にたくさんお会いするのですが、服装に色々な冒険をしてこられた方ほど、ご自分の体験を踏まえて、皆口を揃えてこうおっしゃります。
「ビジネスドレスの王道は、流行に左右されないクラシカルなスタイル」ー物事がスピーディーに流れ、変化するビジネスシーンだからこそ、どのような場にも早急に対応でき、イメージの偏りのない装いが、忙しいビジネスパーソンであればあるほど必要なのですね。
服装にはその人の仕事の能力が現れるけ事」ルール通りだから無個性というわけではありません。
これから詳しく説明していきますが、スーツ一つ選ぶにしても、自分の体型や特徴、外見的イメージといったものをきちんと把握していなければ、正しい選択はできないのです。
服装は能力の証その場のルールと自分の個性を上手くマッチングさせるのが、優れたビジネスパーソン過剰に個性を発揮した装いはどれだけお金がかかっていても、「弁えのなさ」をイメージさせる。
つまり、スーツの着こなしぶりには、ルールを知り、自分の個性を知り、ルールと個性を上手くマッチングさせる能力が現れるのです。
さらには、TPOに合わせてきちんとした装いを選ぶということは、自分自身のためだけでなく、場を共にする人への心遣いの表現でもあります。
こうしたことは、その人の仕事の能力に通じるというのは、言い過ぎでしょうか?いずれにせよ、毎日着用するものなのですから、借り物ではなく自然に装えるよう、ピジネススタイルのルールを知っておいてください。
それだけでも、人前に出たときの自信が付くはずですよ。
男性のビジネスドレススタイルの中で一番大きな面積を占めているのがスーツです。
スーツ選びにはいくつかの要素がありますが、大切なのは以下の三点でしょう。
色(柄も含む)スタイルサイズ。
特に色については、身に着けるご本人の肌や髪の色合いと、スーツの色合いのバランスが取れているかによって、「重厚感になるか、重苦しくなるか」「軽快に見えるか、軽々しく見えるか」が決まります。
では、まずスーツの色の選び方について説明しましょう。
ビジネスの場での基本は紺かグレーバブルの全盛期には、ビジネススーツにもかなり色々な色が使われていました。
モスグリーン、カーキ、マスタードなどなど・・・。
しかし、近頃ではそのようなものはほとんど姿を消し、日本も米国もすっかり基本的なものに収まっています。
正式なビジネススーツの基本カラーは、濃紺とチャコールグレーです。
紺は「誠実、精惇さ」、チャコールグレーは「落ち着き、余裕」のイメージを相手に与えます。
大人の余裕や知性を感じさせたり、信頼感を感じさせるためには、紺やチャコールグレーのものを着用することがポイントです。
そして柄は、無地かストライプとなります。
したがって、「濃紺の無地」「濃紺のストライプ」「チャコールグレーの無地」「チャコールグレーのストライプ」会二着ずつ持っていれば、とりあえず安心でしょう。
もし最初に購入したり、改めてワードローブの改造を計画されている方の場合、無地からスタートされることをお薦めします。
なぜなら手持ちのシャツやネクタイなどともコデイネトしやすいからです。
ウォームトエンの人も茶系はNGな理由。
さて、「スーツは紺かチャコールグレー」という話を聞いて、疑問に思った人もいるかもしれません。
四六ページで説明したように、紺もチャコールグレーも、肌がクールトーンの方に向いた色です。
では、ウォームトンの人の場合は、どうなるでしょうか?ベージュ?茶色?いえ、ビジネスシーンでのスーツは、やはり紺やチャコールグレーが基本です。
ベージュや茶などの暖色は、カジュアルさが強くなってしまいます。
それに色選びには、色の種類と同じくらい、濃さ(コントラスト)も重要なポイントとなります。
肌ノートンではなく、肌の濃さ、髪や瞳とのコントラストなど、色の強さ濃さの特徴を生かすことが大切です。
全身のカラーのバランスを上手く取り、その人なりの強さを表現するには、自分の持っている色素の中で一番濃い部分(たいていの人は髪と瞳)と、身に着ける色の一番濃い色を同じにするのが、大原則です。
髪や瞳よりも濃すぎる(強すぎる)色の衣服は、あなたの持っせっかくの個性を抑えたり殺したりしてしまいますし、中途半端な色ははっきりしないイメージになります。
欧米の自己演出の上手な人たちは、「自分の瞳の色と同じ色の衣装は、何よりも自分を引き立てる最高のものである」と言います。
グリーン、ブル、すみれ色、ヘゼルやグレー、ブラウンなどなど。
様々な色と明るさの瞳を持った人たちが存在しているから、なおさらでしょう。
したがって、ダークで深い色を持つわれわれ日本人の瞳や髪を引き立てる色の衣服は、やはり同じような深さと濃さを持つ紺やチャコールグレーとなります。
いくらウォームトンの方であっても、イタリアンスーツにありがちなベージュやカキ、ミディアムなブラウンなどは、金髪や明るい色の髪、瞳を持たない日本人にはなかなかバランスが取りにくいのです。
その上で、ウォームトンの方が紺のスーツを選ぶ場合には、紺の中でも温かみのある紺を選ぶといいでしょう。
グレーの場合も同じで、黄味を強く感じるグレーがお薦めです。
また、ストライプ柄の生地の場合には、そのストライプにグリーンやベージュ(アイボリ)、茶などのウォームトンの色が使われたものを選ぶと、素敵に着こなすことができますよ。
黒はスーツには危険な色。
また、黒は礼服や喪服など、一番公式な装いの色ですが、スタンダードなビジネスドレスの中には入っていない色です。
いわゆるクラシカルなスタイルで、落ち着いた雰囲気のスーツでは、一見黒かと思うものでも、実は黒に限りなく近いチャコエルグレーになっています。
最近は、特に、デザイナーズブランドが出しているものに黒のスーツをよく見かけます。
私のクライアントでも、若手の経営コンサルタントの方々が「相手になめられてはいけないようなときには、黒のスーツを着ます」とおっしゃいます。
確かに「黒」は相手を威嚇する色ですので、色彩心理としては効果はあっています。
しかし、「その場に会っているのかどうか」というと、疑問です。
ビジネスシーンにおいて威厳は大切ですが、威圧はどうでしょう?威嚇や威圧など力づくの勝利は一度や二度であれば成功しても、毎回通用するものではありません。
反対に弱みを見抜かれてしまうかもしれません。
むしろ、きちんと向き合い、堂々と誠実に対応することの方が重要な場合が多いのではないでしょうか。
特に、交渉相手がある程度クラスの高い方なら、なおさらです。
威圧的な態度はむしろ反発を招いてしまうでしょう。
場や立場に合わない強さは、知性を欠くことになってしまいます。
それに、黒はファッション色が非常に強くなり、ときにいやらしさが出てしまう危険な色です。
上手く使えないと、マフィア崩れのように見えてしまいますので、注意してください。
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